「DJ選曲術」/沖野修也氏 読書ノート(1)

「DJ選曲術」/沖野修也氏 読書ノート

 

〜①世界初の「選曲」ガイドブック

〜②クラブDJからiPODユーザーまで

 

    音読学習用にまとめました。このまとめノートで外枠を掴んだら、原典に当たってください。私のノートは、ほんの一部であり、本書にはまだまだ学ぶことが沢山あります。ロンドンジャズクラブ・シーンで活躍した、沖野氏の選曲ガイドです。扱う音楽ジャンルは多岐(ジャズ・フュージョン・テクノ等…)に渡ります…。

 

[1]音楽を選曲するということ

 

<選曲の目的①②>

①好きな曲だけを聴きたい

>「アーティストのテイスト」よりも「自分の感性」が優先される事が選曲の面白さ

>コンピレーション・ミックスCD、とは…

:複数の楽曲を1つにまとめたアルバム等の楽曲集

②自分の好みを人と共有したい

>人間の根源的な欲望

>人間の社会的、宗教的性質を象徴

 

<選曲とは>

・選曲とは、コミュニケーション手段であり、自分らしさを伝える技術でもある。

 

<選曲の心構え>

・DJ選曲術はアートである

>そのアート活動において、あなたの感性に訴える「モノ」があるはず。

>それを見極める真剣さが大事

・感性とは

:(無意識的・直感的な…)センス(=審美眼)

 

<選曲のクリエイティブ性>

・「選曲」の基本概念(=…とは何か?)

①目的に応じたピックアップと曲順の決定

②通して聞いた時の統一感

・選曲ってクリエイティブ???

①ここ10年でスタイリストやファッション・エディターの地位が向上してきた。

②それと同時に、DJやコンピレーションの需要が拡大してきた。

①②>つまり「選び」「組み合わせる」ことの需要がファッションや音楽の世界で拡大している。

 

<選曲テクニックの修練>

・まずは、可能な限り多くの曲を聴く

>それによりセンスが磨かれる。

追記)

>100曲の中から選ぶ10曲と、1000曲の中から選ぶ10曲では、クオリティがちがう。

・偉大なDJのプレイやミックスの選曲集を数多く聴く。

>優れた選曲のお手本

 

[2]選曲のテーマを決める

<誰に聴かせる?>

・沖野氏(著者)が「某音楽協会」に送ったテープ

=70年代のフュージョン・コンピレーション

>これは、誰もその価値を認めなかった激安フュージョンの楽曲の中からセレクト。

・「テーマ」

=>価値観の逆転

、「某音楽協会」

=>選曲家の社会的地位向上を目的とした団体

・「沖野氏のテープに込めたメッセージ」

=>踊る楽曲集であり、どうじに知的な選曲集である。

 

 

<選曲の目的は?>

・ラブレターの代わり?

・結婚式で来場者を泣かせること?

・クラブで人を泣かせること?

・ショップのBGM?

・ファッションショーの演出の一部?

,ラジオのミックス・ショー?

>とにかくまず,テーマを設定する。

 

<何を表現したい? >

・「表現」:メッセージ、テーマの発信 

・「メッセージ」具体例

①「あなたの知らない音楽ですが、とてもいいでしょ?」

②そんな洋楽の猿真似みたいなポップスなど聴かないで、もっとカッコいい曲で踊ろうよ!!!」

・…具体例

メッセージ>「好きです」

テーマ>「愛」

 

<言葉で表せたものが、音で実現できているか?>

[具体例、沖野氏]

・テーマ(言葉)

>音の、時間旅行と世界旅行

・選んだ曲(音)

60年代の、ジャズやラテン

70年代の、ブラジル音楽・リズミカルなレゲエ

80年代の、ニューウェーブ

      プリミティブ・ジャズ

90年代の、初期ハウスと国産アシッドジャズ

2000以降、フューチャージャズと

       デトロイトテクノと   

       ブロークンビーツ

>様々な、時代と国の音楽が共存する。

>架空のユートピア❣️

 

<テーマが選曲に深みを出す>

 

・テーマが「単なる曲の羅列」と「選曲」を大きく分ける。

・テーマが詩的であったり社会的であったり、普遍的であったりすることによって、選曲に深みが増す。

 

[具体例]

1a、「叶うことの無い愛」というテーマは、愛そ  

のものとは違う感情を与えてくれる。 

1b、「精神の解放」というテーマは、人を羞恥心から解き放ち、苦悩から解放する。

3、 「既成概念との訣別」というテーマは、徹底したアンダー系ミュージックプレイによって表現できる。、

 

[4]曲と曲とのつながり(1)、関連性

 

<似ているということ>

・選曲には、ストーリーとプロットの感覚が必要。

「ストーリー感覚」

>起承転結を前提とした、「次は何をかけるべきか」。

「プロット感覚」

>因果関係に基づく、「だから次に何をかけるべきか」。

 

<似ているとは>

①テンポ・声色・楽器の音色・ドラムパターン。

>主観的にも判断しうる。

②キー・コード進行・構成音といった、音楽的なもの

③タイトル・歌詞・アーティスト・プロデューサー・レーベル、といった曲にまつわる情報

 

・曲を傾聴する。「何が似ているか」を具体的に意識する積み重ねが、その判断基準を無意識下に形成する。

 

・選曲のタブー

>全く似ていないことが最大のタブー

 

・沖野流解決策

①間に必ずインストを挟む

②基本、男性ボーカルと女性ボーカルを続けない。

③男性ボーカルでもファルセットから女性ヴォーカルに移行する。

④混声ヴォーカルを橋渡し的に使う。

>自分に禁じ手を課すことで、逆にその問題解決としての工夫が生まれる。

 

<とにかく音楽を注意深く聴く>

「タスク」

・注意深く曲を聴いて、どんな楽器が使われているかを聴き分けられるようになる。

>それは、「ミュージシャン」や「音楽学校を出た人」には容易いが、ビギナーにとっては結構、難!

 

・「ドラム」といっても…

>ハイアット・スネア・タム・バスドラ・シンバル

「キーボード」といっても

>ピアノ・オルガン・シンセサイザーフェンダーローズ

>>かなり難しいので、まずは次の7つの音を聴き分ける。

ドラム、キーボード、ベース、ギター、パーカッション、ホーンセクション、ヴォーカル

・楽器の聴き分けによって,①一つ一つの楽器の役割と、②そのそれぞれの音調が織りなすハーモニーが見えてくる。

・そうして楽器の音が聴き分けられたら、ベースラインやドラムのパターン・キーボードのフレーズの類似性にも興味を持つ。

 

<周辺情報を集める>

プロデューサー、ヴォーカリスト、参加ミュージシャン、レーベル、何年に作られたか?、どこの国のどのエリアで作られたか?、スタジオはどこ?、エンジニアは誰?

>こうして、自分の好みの音楽傾向、買うべき作品も分かってくる。

追記、「ライナーノート」について

・ライナーノート

:レコード・CDに入ってる解説の書かれた小冊子。

>日本人の音楽理解の深さは、このライナーノート・カルチャーがためともいわれる。

 

<自分のプレイを記録する>

・自分のDJプレイを記録する。

>自分を客観視することによって、問題点が浮かび上がる。

・なぜ客が引いてしまったのか

・なぜ曲と曲とのつながりに違和感があったのか。

>問題の抽出後のタスク>「3つの異なる条件」の中から、最低1つずつ、合計3つ以上の関連性を見つける。

「3つの条件」

①「どんな音楽ジャンルを感じさせるか」という主観的な要素 

②その曲を構成している音楽的な要素

③具体例な事実として挙げられる情報的な要素

 

>以上、論理的な選曲メソッド

 

[5]曲と曲のつながり②、意外性

 

<似て、かつ意外である…ことの難しさ>

「さらに上を目指す人」向けのチャプター…

 

・ラリー・ラヴァンがヒットポツプスをかける

・フランソワ・Kがドラムン・ベースをかける

・パトリック・フォージがロックをかける

>意外とはこういうこと…

=なんらかの関係性があると認められるにもかかわらず、人々の予想の範囲を超える、あるいは気持ち良く期待を裏切る。

 

<テンポチェンジを効果的に使う>

[テンポを変える、列挙]

・ダブからハウスに移行

・ヒップホップからドラムンベースに展開

・BPMが同じ曲だけではなく、2倍(もしくは半分)の曲をミックスする。

>やり方=小説のカウントの仕方を2倍にすることで、異なるBPMの2曲を同時に鳴らす事が可能。

>2曲をロング・ミックスするのでは無く、カットインというラフな手法で少しずつテンポを上げたり下げたりすることもできる。

・その他色々…(省略)

 

<生音の導入>

・生音源(スタンダード曲のこと)

・打ち込み音源(売り出し曲のこと)

・ハウスとは

:ソウル音楽やディスコ音楽からダンスビートを抽出し、反復することで快感を増幅することを目的に開発された音楽。

 

・ハウスDJの手法

>パーカッションのつながりを利用して、曲を展開

…。

>つまり、〜ある曲〜から、古いアフロやサルサへと展開

>すると、フロアがプリミティブなグルーヴに席捲されることがある。

・席巻

:急スピードで勢力範囲にする。

>意外❣️

>公式化

①プログラムされたヒプノテイブなビートから、②肉感的で呪術的なリズムへと踏み出す

=これは、彼らハウスDJのルーツ回帰であり、劇的な冒険でもある。

 

・ジャズDJの手法において…

>打ち込みサウンド(売り出し新曲のこと)が、ジャズシーンの主流であった。

>しかし、もともとジャズ系DJが得意としていたのは、旧譜(スタンダード曲のこと)

>>故に、フューチャージャズやブロークンビーツをミックスし続けることの方が、イージーなのでは???

 

・沖野氏の体験

>沖野氏は当時ロンドン在住。ロンドン・ジャズシーンの影響下にあった。

>沖野氏のアイデアは、そこにニューヨーク・ハウスの手法を手に入れる。(新曲からスタンダード曲への原点回帰。)

=>沖野氏、自分のオリジナリティを確立。

=>そして、1980年代にコンピレーション、

「Kyoto Jazz Massive」を発表。

=>この作品が、ジャズシーンとハウスシーンをつなぐ、強力なアンセム(:祝いの交唱曲)となる。

 

<ジャンルを飛び越える>

 

①ラリー・ラヴアンが、「Sweet Dreams」/ユーリズ・ミックスをかける

②フランソワ・Kが、ミックスCDに「Dark Soldir」/ルネ・ゲートを収録

③パトリック・フオージが、「Happy I am going home」/シカゴのフォーキー・ファンク、をかける

 

①②③>彼らDJは、自分の得意としているジャンルから飛び出す度胸と、さらに多くの曲を知る地道な努力をしている。

 

<その他の方法>

・意外性の獲得には、色々な手法がある。

 

・手法①

>まつたく別の2曲を1曲にする。

>インストのトラックに全く別の曲のヴォーカルをかぶせる等…

→曲のキーやコード進行を考慮

→テンポの管理も必要

>DJテクニックの中で最も高度な技の一つ。

 

・手法②

>「有名人の知られざる名曲」をかける

・マドンナのダブ・ヴァージョン

・レニー・クラヴイッツのラテンヴァージョン

渡辺貞夫「Pembe Za Watanabe」

・ポリスの「Voices In Your Hand」      等等…

>これは、ひたすら探すしか無い。

 

[6]自分のスタイルの確立

 

<偉大なDJのプレイを聴く>

・自分のスタイルの確立のために、オススメは、

>偉大なDJのプレイを聴く

>これにより、感性が磨かれる。

・偉大なDJのミックス・プレイのエッセンスを消化するために、

タスク

>DJプレイに潜むテクニックや手法を書き出す。

①、曲と曲の間に存在する共通項は何か?

②、お手本DJはどんなルールを自らに課しているか?

③、どうやってDJとしての個性を発揮しているか?

 

<他人との差別化>

・DJとしての個性確立のため?他人との差別化が課題。

・アーティストとしてのユニークさ確立のため、生まれつき備わった才能が無いなら、努力しても獲得すべき。

・兎に角、選曲の才のベースになるのは、①「何をかけるべきか」②「次に何をかけるべきか」…

>を真剣に吟味する修練が必要❣️

>そこからあなた自身のユニークさが生まれる。

 

<自分のバックボーンを振り返ってみる>

・オリジナリティのある選曲>その手がかり>自分の好きな音楽

[沖野氏のケース](DJとしての個性発揮まで)

・日本でDJを始めた経緯(いきさつ)

>日本にいるメリット>国産ジャズが買える。

>そもそも沖野氏は、YMOで音楽に目覚めた。

>また、YMOをテクノではなくジャズと誤認した。

>こうして、沖野氏はフュージョンやジャズを聴き始めるようになった。 

>沖野氏自らのDJプレイに、海外雑誌のチャート作品に加え、日本人アーティストを流すようになった。

>そうして、ワールドDJ界で「京都の沖野」という変わった奴と、名が知られるようになった。

>それまでにも、UKでは「70年代日本のフュージョンやジャズ」は人気だった。

 

結>選曲DJ修行において、自身の音楽遍歴をより充実させたり、宇宙のように広大なレコやさアーカイブを探索したりすることは非常に価値がある。

 

<土台は何にするか>

・沖野氏の若手DJへのアドバイス

>まず、土台となる音楽ジャンルを決めよ。

方針①

>ザックリとした、専門とする音楽ジャンルのスタイル構築。

ケース①

ルイ・ヴェガのようなハウスDJでも、純正ハウスだけでなく、ハウスをベースにしながらも…

ソウル・ジャズラテン音楽・ブラジル音楽

・ファンク・アフロ・ブレイクビーツ・テクノ

>を選曲に取り込みながら、自分のスタイルを構築

利点①

>ルイ・ヴェガは、ハウスという自分の基礎部分がしっかりとあるからこそ、様々な音楽をバランスよく積み上げることが出来る。

利点②

>所属するジャンルを明確にすれば、DJマーケットに参入しやすい。

 

<アイデアの作り方>

・兎に角音楽を聴く.そして、音楽に関係のない事にも好奇心を持つ。 

>集めた情報は、意識の水面下で成長し続ける。

 

<まとめ>

>曲を選ぶとは「生きる」ということ。

・選曲とは…

>単なる曲順ではなくストーリーであり、音楽ドラマでもある。

②a>単に「次は何か?」という原始的な興味を満足させる…だけではなく、

②b>「なぜ次にそれなのか」という知的な快感を得る。

>自己の世界を表現していくプロセスであり、まさに生きるということ。

 

<最後に>

・選曲を学び、今までとは少しだけ違うものの見方が出来るようになった事に気付きましょう。 

=>

「あなたは自分で思う以上にずっと自由です❣️。」

 

                                                             了