アーティスト研究、(1)「椎名林檎」

お知らせ、本のノート整理です。私の学習用に作成した物です。 

 

<文章構成>

①椎名の軽薄な日本志向

②語句講義「サンプリング技法」

③ミステリアス、且つトリッキーな椎名の日本志向

サブカルシーンと時間軸、そして椎名の立ち位置

⑤椎名アートの特性

 1、ロック的メッセージ

 2、PV分析

    3、歌詞分析

            以上〜

1、<椎名の軽薄な日本志向>

 

・椎名の愛国パフォーマンスは

>「社会思想上の右翼思想」ではなく、

>「芸術表現上のサンプリング的な軽薄さに端を発した考え」が。

=>その源泉である。

==>つまり、政治的な悪意ではなく、椎名自身が本気でカッコいいと思っている。

 

2、<語句講義「サンプリング技法」>

 

>過去の曲や音源の一部等、音楽表現上の様々な要素を流用し(本来の目的とは違った使い方をし)、

再構築して新たな楽曲を制作する音声表現技法のこと。

>「日本美しい!」的なものや文語体使用といった歌詞表現・和風ビジュアルといった要素を寄せ集めて、何か新しい楽曲を作るというアート技法。

 

3、<ミステリアス、且つトリッキーな椎名の「日本志向」>

 

・椎名が日本を語るときに歴史に言及❣️しない。

・「歴史に言及❣️」

=つまり「土地」があって「地域共同体史」があって「政治史」があって、というような、日本という地理的空間のベースとなる歴史的表現。

=>つまり椎名の愛国ソング、パフォーマンスから、歴史が捨象されている。

・問題点‼️

①それまで「積み上げられていた歴史」がフラットになり、「新たな物語」を代入することが容易になってしまう。

②「椎名アート」という具体性も歴史的背景もないフォーマットを作っておいて、あとから聴衆を含めた「政治利用」が可能になるものを作り上げている。

 

4、<「サブカルシーンと時間軸」そして椎名の立ち位置>

 

・[まず大きく外観]

>戦後、日本社会の文化傾向として、輸入文化から「日本のノスタルジー」というナショナリズム復権があった。

・[90年代サブカルシーン]

>喪われた(うしなわれた)「日本的なるもの」への郷愁や反動的回帰。

・[90年代後半ー2001年くらいの一瞬]

>なんとなくノスタルジックなものをスタイリッシュにまとめました…。そんな表現が一定の格好良さを持っていた。

>1998.9.9. に、椎名は「歌舞伎町の女王」をリリース。この楽曲の中で「新宿系」という椎名本人命名の、70年代の都心繁華街っぽい匂いを醸し出していた。

 

・[2000年前後…]

・リベラル論壇が危惧していた右傾化

具1)「日本っぽい意匠」/「日本国家に回帰するような振舞い」

具2)小林よしのりつくる会」等、といった新保守による「日本の欧米化」「世界のグローバル化」に対する反動的なアクション。

<=>この様な日本社会の右傾化に対して…

>椎名のアクションはずっと素朴・漠然としている。

つまり…

①椎名の描く「日本の理想像」が見えてこない。

②「日本の理想像」に向けて「組織的な行動・表現活動」がある訳でもない。

・日本社会の右傾化に対する椎名のスタンスは?

>アート表現を全面に出し、政治性では無く美的センスを社会に問うている。

 

5、<椎名アートの特性、①ロック的メッセージ>

>瞬間的なもの・刹那的なものに本質的な美さを見出すみたいな志向。

それは

=>スタンダードなロック的な価値観でもある。

「It's better to burn out than it is to rust .」

(「錆びるより燃え尽きるほうがいい。」

                                          / ニール・ヤング       )

例>「だって写真になっちゃえば私が古くなるじゃない。」                            /ギブス

例>「天上天下繋ぐ花火哉…。」

                                           /長く短い祭

例>「淡い死の匂いでこの瞬間がなお一層…」 

            /NIPPON

6、<椎名アートの特性、②PV分析>

①ビィジュアルとして、彼女の姿や身につけるアイテムは表層的。

②そこで歌われるテーマは一貫性がある。

>この2点(①②…)から分析

・うわべを着飾って他者に対して媚びをみせ、また歌うテーマには他者志向とも言える、首尾一貫した聴くに心地良いメッセージ性がある。

>結論

・椎名は他者を振り払ってしまう訳では無く、もしろ逆に依存しちゃう。

・つまり「椎名アート」のエッセンスは「自立」とか「孤独」では無く、他者性である「依存」へと落ち着く。

>そして、且つ❣️

・椎名は的確に日本社会の現代の空気を読んでいる。

 

7、<椎名アートの特性、③歌詞分析>

 

「i罠B with U 此処に居て

ずっとずっと明日のことは判らない だから  ギュッとしていてね ギュッとしていてね ダーリン♡ 」

・歌詞分析

>人間には「刹那的な美しさ」以外に突き詰めて言えば、「価値」と言えるものが何も無い

>、という椎名の「あきらめ」。椎名の「孤独への自覚」では無く❣️❣️❣️

>最終的に「他者」=ダーリンに対して「ギュッとしていてね」と依存しちゃう。

>結論❣️❣️❣️

・この様な、椎名が持っている「他者」への「甘やかさ」が、彼女のアート表現の本質では???。

 

むね's  コメント

2・3も5も10年も…強欲な執着に、惨めたらしく自宅浪人生として、人の道を踏み外していった…。そして遂に私は老いた母からの精一杯の気持ちのこもった高額の大学入試受験料を、都心のネオン街で一晩にして失った…。私は最低の男になった。そしてさらに追い討ちをかける様に、その無様な自分の姿を打ち消すかの様に、致死量並みの煙草とコーヒーを毎日毎日、そしてまた明くる日も大量に摂取した。30歳前後だった当時の私に、もう明日は見えなかった…。      今、裏街道を進む私には、人生のライフモデルがある。それはスマートでも強靭で無くても良いから、地味で地味で地味で…弱くて…でもたまに起こる小さな最高の出来事に、愛する人と幸せを感じ取れるような❗️❗️❗️。そんなモデルである。 

 

                   了